子は鎹

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震えたよ

※hrak本誌 2023/10/16

403話

 

 

ネタバレ注意です。

 

 

 

 

震えたよ

 


ねえ、ばくごうくん

 

 

震えたよ

 

 

 

余談ですが、この「震えたよ」はB組戦で大活躍したばくごうくんにオールマイトがかけた言葉でもあります。これ、めちゃくちゃ嬉しかっただろうなって思うのです。あの時のばくごうくんは「風邪でもひいてんじゃねーの」って照れ隠しに言ってましたが、憧れの人が自分の成長を感じて賞賛の言葉をかけてくれたこと、きっと心が動くものがあったと思います。ここのシーンは私まで嬉しくて、ニコニコしながら見ていた記憶があります。

 

オールマイト。どうしたってヒロアカという作品のキーとなる人です。主人公側も、敵側もみんなこの英雄に執着している。

 

 

今回の本誌の話をする前に、オールマイトとばくごうくんについて少し掘り下げたいです。

 

 


オールマイトとばくごうくん

最終決戦と言われる今回、ばくごうくんがオールマイトのカードを持ってきていたこと。グッとくるものがありました。いや、ずっと持っていたのかもしれませんね。

 

オールマイトをも超えるヒーローになる」と最初から言い続けていたばくごうくん。
「俺はオールマイトが勝つ姿に憧れた」と指標が決まっていたばくごうくん。
「何で俺はオールマイトを終わらせちまったんだ」と悔やんでいたばくごうくん。
デクくんへの過去からの感情をオールマイトに静かに打ち明けていたばくごうくん。

 

ブレないなあと思うのです。
ばくごうくんはずっとブレてない。自分の中ではオールマイトが1番で、最強で、その憧れの人を超えるために日々鍛錬する。世の中にヴィランがいるから鍛錬するんじゃない。オールマイトを超えるというあくまで個人的な目標があって、それを成し遂げるまでは決して満足しない。

 

だから、ずっと追い続けていて。
子供の頃からの執着というよりは、今もずっと”最後は絶対勝つ”オールマイトの在り方を理想としている。そして自分が超えるまで追い続けている。いつの日か切島くんに言っていた「倒れねーってのはクソ強ェだろ」も、神野のオールマイトを見て彼の中でまた一つ憧れが大きくなったことを示す言葉で。オールマイトがどんな姿であろうが、ヒーローを引退しようが、幼馴染を選んで目をかけていようが、弱さが見え隠れしようが、ばくごうくんの目標は1ミリもブレなかったのです。それがすごくかっこいいと思うのです。

 

最終決戦、オールマイトが"I AM HERE(386話)"と戦いに出て、ボロボロになりながらもAFOに立ち向かう様子が「倒れねーってのはクソ強ェだろ」に重なって泣きそうになりながら見守っていました。ばくごうくんが憧れたその姿勢をまた見せてくれて嬉しかった。勿論、見るのも辛いほど酷使してしまった身体と今の状況はすごく心配ですが、、。

 


圧巻の403話とばくごうくん

今回の本誌の話を。

兎に角魅せ方がすごかった。休載を挟んでの表紙、巻頭カラーの回。先生の気合いをひしひしと感じました。

 

まずオールマイトの過去パートから始まる不穏さ。
ベイビーとしのりくんとお母様の登場は微笑ましくも、読者としてはこの柔らかな回想は「嫌な予感」に結びついてしまって末恐ろしかった。

 

AFOの余裕な表情と、”ヒーロー殺し”の個性が使われる皮肉、スターの仲間が瞬殺される不吉極まりない展開。地獄が重なっていく中盤。
(アグパーさん含めスター周辺は何か色々つらいです)

 

そして民衆が諦めモードの状況。
彼の死は時代の節目になる、という死を確信したような台詞まで出てきて。心臓が潰される思いでした。

 

何よりオールマイトの悲惨な姿と「ミヂ」という聞くに堪えない効果音、大きくなる心音が不吉でもう動機が止まらなくて。

 

 

嫌だ──────誰か────────
という気持ちに私までなっていました。塚内くんの祈るような表情が読者の心情そのものだったはず。これは堀越先生の力量、この追い込まれた状況の描写が上手すぎる所以だと思います。本当に凄い。

 

 

次のページ。

何が起こったのか一瞬理解が出来なくて、光の中で小さくゆらめくその姿を目にした時、頭が白くショートする感覚でした。雷に打たれるってこんな感じ?もう、嬉しすぎると声も出ないんだなって。

 

 

いや~~~~~~~~~~~~もう。

 

 

う、嬉しかった~~~~~~~~~~~、、、、、、、

 

 

やっと、やっと戻ってきた。最高の形で戻ってきた。こんなに嬉しい瞬間がこの先あるのか?というくらい嬉しくて、嬉しくて。

(そしてエッジさんの行方が心配で)

 

この遠くに見えるばくごうくんの姿はデクくん目線だと思いますが、最初にこの目線で見れてよかったな。ヒーローの登場って私たちにはこう見えるんだなと鳥肌が立つ画角でした。

 

 

次のページのばくごうくんの表情と、キラキラとした.....なんだ、これは。呼び方がわからない。とりあえず復活したての彼がキラキラとしている。こんなに尊いことはありません。このコマの線の多さが凄くて凄くて素人には「凄い」しか言えない。凄いことは分かる。先生、ばくごうくんを丁寧に描いてくれてありがとうございます。

 

 

そしてラスト4ページの畳み掛け、本当に感無量でした。オールマイトの「オリジン」となったものが、確実に受け継がれている描写。幼少期からの深い敬愛を示す「オールマイトのカード」というアイテム。ヒロアカの主人公とも言える2人の光に満ちた表情。

 

スターが残した言葉 「人が人を助ける限り 英雄の意志を継いだ誰かが必ずお前を討ち滅ぼす」がここで回収されたのではないでしょうか。
"英雄が"滅ぼすのではなく、"意志を継いだ誰か"が出てくると、生徒たちの存在を知らないはずのスターが言っていた。それは他でもない彼女自身が英雄──オールマイトに救われ、突き動かされたから。だから彼女は確信していたんだな、と思うのです。

 

それでもやっぱり「The End of An Era」は悲しいよ。でも「The Beginning」という文字と共に描かれたばくごうくんの表情、それを見ているデクくんの表情に希望以外の何を感じようか。この絵本当に絵画みたいだ。原画展で見たいです。絶対。

 

ばくごうくんの姿をとらえて、その表情を見て、私は安心しました。もう大丈夫だって。実際にそう感じさせてくれた先生に感謝が止まらないです。ヒロアカの世界の人々、というかあの瞬間のデクくんの感情の疑似体験をさせてもらった気分でした。

 

ばくごうくんを見て、「美しいな」と心から思いました。キラキラ、パチパチと輝く目が本当に印象的で。美しい男性の絵は沢山存在しますが、こういう美しさはまた新しくて。表情や光の粒の美しさだけじゃなく、ここまでの死闘とか、復活という待ち望んだ場面だとか、デクくん視点であることとか、そういう背景も折なってこの神格的な美しさがきっと生まれているんだなあと、そして私はそれに加えてもう1つ、ばくごうくんの「スター性」のようなものがこの輝きを強くしているのだと思いました。

 

爆豪勝己という人は容姿も言動も目立つしブレないし何かと出来事の中心にいがちだし、好き嫌いはさておき誰もが無視できない「スター性」があるように思うのです。デクくんの"勝利のイメージ"なだけあり、いるだけで安心する、大丈夫だと思える強さとかっよこさがあって、今日は何をしてくれるんだろうという期待を周りに持たせる、そんな唯一無二のキャラクターだと思うのです。そんな人が蘇生しこんな場面で降臨すれば、そりゃどんな物よりも眩しく美しいですって。それを最大限表現して下さった堀越先生に割れんばかりの拍手を送りたいです。(これを書きながらとあるスーパーアイドルを思い浮かべていました。彼も自由な人だけどいるだけで大丈夫だと思える圧倒的な魅力がありました)

 

 

 

あ~~~~~~~~~~~~~すごいな。

 

 


ヒロアカ、すごい。

 

 

 

 

403話、美しく光が差すような回でした。

ずっとこの感動を覚えていたい。

そう思って書き殴りました。

 

 

まだまだ話し足りない気はしていますが、とりあえずここら辺で。

 

 

いや〜!!続きが楽しみだな~!!